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『茜色クラリネット』

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琴似を舞台に中高生と大人が共同制作した、心温まるファンタジー。

『茜色クラリネット』

“大人になるってどういうことなんだろう?というテーマに対する、
私たちなりのメッセージが伝わればいいなと思います。”

坂本 優乃

出来上がった映画からは、何とも言えない丸くて柔らかな印象を持ちました。

早川 渉

大人でも子どもでもない中学生の物語を、
登場人物と同年代の子どもたちがつくったという感覚がよく出ている映画です。

中島 洋

2013年に制作された長編映画『茜色クラリネット』は、札幌で、中高生と、映像・演劇界の第一線で活躍するプロ、そして地域コミュニティがタッグを組み制作された劇場公開作品。この映画が生まれた経緯と魅力について、監督を務めた高校1年生の坂本優乃さんと、指導監督の早川渉さん、プロデューサーの中島洋さんにお話を伺いました。

世界でもあまり例のない、中高生×映画・演劇のプロ×地域コミュニティによる共同制作。

1992年に札幌市にミニシアター「シアターキノ」を開館した中島洋さんは、2005年から中学生を対象とした「子ども映画制作ワークショップ」を続けています。2008年からは市内在住の映画監督早川渉さんも講師として加わり、「質の高い映画をつくる」ことに主眼を置いて、札幌市内の商店街や公園をロケ地に短編6作品を制作。作品は国内外の映画祭などで上映され、高い評価を受けました。そして2013年、これまでの成果を受け、劇場公開長編作品の制作を掲げた「コトニ夢映画制作プロジェクト」が立ち上がります。監督にはワークショップ経験者の高校1年生、坂本優乃さんが抜擢されました。中学校の3年間で役者、演出、脚本を担当した経験を評価されての選出でした。プロジェクトは、札幌の映像・演劇界の第一線で活躍するプロ、舞台となった琴似地区の人々、市民サポーターや企業によって支えられ、世界でもあまり例のない中高生と大人による共同制作長編映画『茜色クラリネット』として結実します。

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新たな映画づくりの方向性と魅力を感じさせる作品。

中高生と大人による共同制作という制作スタイルによって、『茜色クラリネット』は瑞々しく、親しみやすい作品になっています。大人スタッフは、坂本監督が思い描く世界を表現することに専念できるよう現場で配慮しながら、常に観客を意識して質に対する責任を持つ。そうして出来上がった、中高生の感性と大人スタッフの知恵と工夫が見事に融合した世界を、ある評論家は「集団の映画」と評します。監督の作家としての個性を強く帯びる映画づくりとは違う、新たな映画づくりの方向性と魅力を感じさせる作品です。

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登場人物と同じ時間を生きる、中高生だからこそ描けたファンタジー。

本作の主人公は、受験を控えた中学3年生の茜。「茜ちゃんは自分に近い存在で、彼女の演出は自分が思うことを素直に反映させました」と坂本監督が語るように、つくり手の中高生とまさに同じ時間を生きている登場人物には、大人では表現し得ない「真っただ中にいるときの感覚」が映し出されています。クラリネットに出会い、夢を抱き始めた茜。「夢と現実は別物」としてふるまう周囲の大人たち。街に蔓延する謎の病気「大人病」に立ち向かう中で、夢を信じる「子ども」の自分と、もうすぐ「大人」になる自分との間で揺れ動きながら主人公たちが成長していく本作は、つくり手の中高生たちの成長物語でもあるのです。また、映画に味わいを与えている、古本や8mmフィルムなどノスタルジックなアイテムも魅力の一つ。現在と過去、現実と夢の世界を行き来しながら、ひたむきに10代の一瞬を駆け抜ける子どもたちとそれに背中を押される大人たちが生き生きと描かれる本作は、大人になるにつれ忘れかけていた大切なことを、きっと思い出させてくれるはずです。札幌から生まれた心温まるファンタジーを、ぜひ劇場で体感してください。

『茜色クラリネット』予告編

坂本優乃(さかもと ゆうの)

中学1年2年の時に、子ども映画制作ワークショップに参加、役者と演出を経験し、3年生で書いた脚本『僕らの興味期限切れの夏』が2012年ワークショップ作品に選ばれ、その才能と実績が評価され、高校1年で初監督の大役を射止めた。2013年にはソウル青少年映画祭にも招待された。

早川渉(はやかわ わたる)

映画監督・CMディレクター。
1964年名古屋市生まれ。北海道大学に入って以来、札幌に住む。1998年制作の16mm長編映画『7/25』がカンヌ映画祭国際批評家週間に正式出品されたほか、多くの国際映画祭でグランプリなどを受賞。2007年制作の『壁男』(主演:堺雅人)は東京国際映画祭に出品、その後全国公開された。98年からフリーの映像制作者としてCM、プロモーションビデオなども手がける。

中島洋(なかじま よう)

シアターキノ代表。
1950年山口県下関市生まれ。90年代にミニシアターが次々に閉館されていく中、札幌にミニシアターを残すのが自分の役割と考え新たにシアターキノを1992年にオープン。他に札幌国際映画祭実行委員、ジャパンプログラムのディレクター、NPO法人北の映像ミュージアムの理事、北星学園大学、札幌学院大学での非常勤講師や、セミナーの講師など様々な文化活動に積極的に携わっている。

Information

名称
『茜色クラリネット』
期間
2014年3月22日(土)からシアターキノにて公開
ウェブサイト
http://k-yumecinema.com/

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